例えば建物を改築しようとしたら、10数年前に購入した敷地に瑕疵があり、改築に制約がかかることが判明したとします。この場合、土地の売主に対して瑕疵担保による損害賠償責任の追及はできると思いますか?
実は瑕疵担保による損害賠償請求権は10年間権利を行使しなければ時効により消滅してしまいますので、売買契約から10数年経過していれば売主に瑕疵担保責任の追及はできなくなります。
このように、賠償責任には時効が設けられていますので、後でトラブルにならないためにもその内容を把握しておく必要があります。
損害賠償請求の手続方法は?
相手に損害賠償金を請求し、請求通りにすぐに支払ってくれれば良いですが、話がまとまらずに相手が納得しない場合には解決に至りません。ではどうすれば良いのか、損害賠償請求の手続き方法は次の通りです。
・内容証明郵便で請求する
その場合、内容証明郵便で請求することで損害賠償請求に対する強い決意を示すことができます。ただし内容証明郵便を送っただけで解決に至ることは多くありません。
・調停手続きを行う
そうなると調停を起こすことを考えなければなりませんが、この場合、簡易裁判所や家庭裁判所で調停手続きを行い、裁判所の調停委員に間に入ってもらい話し合いをすることになります。しかし双方の言い分が対立してまとまらなければ、調停は不成立になります。
・裁判で決着することを求める
調停で話がまとまらない場合にはいよいよ裁判になりますが、簡易裁判所、地方裁判所、家庭裁判所などに民事訴訟として損害賠償請求訴訟を提起することになるわけです。
法的手続の中で最も強力で最終的な手続きと言えますが、判決で決着が出るので、損害賠償を請求する原告側が、加害行為(債務不履行)と損害発生の因果関係などを主張するための証拠が必要です。
・和解という方法も選択肢の1つ
証拠が不十分では請求しても認められないということと、判決までにはある程度時間がかかることは理解しておきましょう。
また、十分に立証できないなどの状況で、なるべく早く確実に損害を賠償して欲しいというのなら、和解で解決したほうが合理的な場合もあります。
請求せずに放置すれば時効で権利が消滅する点に注意!
損害賠償は請求せずに放置しておくと時効にかかってしまうことになります。
契約関係にある当事者間での債務不履行による損害賠償請求は10年、商事債権は5年、不法行為に基づいた契約関係にない当事者間での損害賠償請求は3年で時効を迎えます。
また、権利を行使することが可能な時点を起算点とするため、例えば債務不履行による損害賠償なら債務不履行があった時点からカウントすることになり、不法行為なら加害者や損害を知った時点からカウントすることになります。
後回しにしていて損害賠償請求ができなくなったという事のないように、損害賠償請求の種類それぞれに時効があることを知っておく様にしてください。