勤務中の移動や、工場内の車両事故、通勤途中の事故など私達の日常生活には様々な場所で自動車事故の危険があります。交通事故を起こしてしまったら、過失割合に応じて相手に対する賠償責任が問われる事があります。その時に、時価以上の修理代を請求されてしまったら支払う義務があるのか、自動車保険での対応を見てみましょう。
【時価以上の賠償金を請求できる?】
交通事故で全損と判断された場合、一般的には車両の価値(時価)以上の賠償金は請求できない事になっています。しかし、それでは納得できないというケースもあります。それは、新車納車後30分で事故に遭った場合や、納車後数日しか経っていない場合でも 「中古車」として扱われ、新車としての価値ではなく、中古車の時価として判断され新車代金は請求できない点です。このような場合には、裁判で新車価格を認めてもらったという判例もあります。
【裁判による判例】
例えば、新車登録後8日、走行距離209キロの車が、交通事故に遭ったケースです。この場合昭和50年6月17日、京都地裁で新車価格を認めました。更に、新車登録後6日で屋根が全体的に後ろにずれて、修理しても走行に支障をきたす事が認められ、昭和49年4月15日買い換えを求めた裁判で新車価格が認められました。しかし、実際には時価以上の賠償金を請求する事は非常に困難で、これらは稀なケースだと言えます。これらの裁判には、明確な基準がなく裁判結果も地域によって異なるため賠償金を論理的に証明する事は難しいからです。
【自動車保険での対応】
このような場合、自動車保険で対応する事はできるのでしょうか?保険会社によって名前は違いますが最近では「対物全損特約」や「対物超過修理費用特約」などがあります。一般的に50万以下となっていますが、修理代が時価を上回った場合に差額分について過失割合に応じた金額を支払ってくれますので、特約として付加しておくと安心です。
【まとめ】
自動車保険や、個人賠償保険などで被害者に時価以上の金額を請求されるというトラブルがあります。このような時に、法的には時価以上の賠償金を支払う必要はありませんが、数百円の特約を付加しておくと相手と揉める事やトラブルが少なくなるというメリットはあります。また、自身の保障としても加入しておくと、万が一にも安心ですので検討してみる価値は十分にありそうです。