交通事故などで、加害者が死亡してしまった場合に被害者に対する賠償責任はそのまま相続人に相続されるのでしょうか?加害者が死亡した場合の損害賠償請求と、相続、相続放棄について見ていきましょう。
【加害者が死亡した場合の損害賠償請求】
交通事故などで任意保険に加入している場合は、被害者は賠償請求について保険会社と交渉をする事になりますので、特に問題はないでしょう。しかし、加害者が無保険であった場合などは加害者が死亡した場合、その相続人に対して賠償請求を行う事になるため、損害賠償について揉める事が多くあります。無保険車の場合、自賠責保険からいくらかの保険金は受け取れますが、死亡の場合3千万円、後遺障害の場合4千万円と上限があるため、それ以上の金額を請求する事はできません。当然この金額で、遺族は納得するはずもなく被害者と、加害者側で揉める事が多いのです。
【賠償請求権の相続】
では、加害者が死亡している場合損害賠償請求をその相続人にする事はできるのでしょうか?加害者が運転中に事故を起こしそのまま亡くなったり、事故後の入院中に亡くなってしまった場合、被害者は加害者の法定相続人に対し損害賠償請求をする事になります。このように、相続は正の遺産だけでなく負の遺産についても相続する事を覚えておきましょう。親の借金などを相続する事と同様に、交通事故の賠償請求についても相続人は相続をする事になりますので注意が必要です。ではもし、負の遺産を相続したくない場合はどうすればよいのでしょうか?
【相続の放棄】
相続は、先にも述べたように負の遺産を相続する事もあります。正の遺産でも負の遺産でも、相続したくない場合は、相続の放棄ができます。相続の放棄をしたい場合は、管轄の裁判所で所定の手続きをすれば相続の放棄をする事ができます。相続の事実を知ってから3か月以内に「相続放棄申述書」を提出する事で、相続の放棄をする事が出来ます。また、法定相続人が複数いる場合は、それぞれが「相続放棄申述書」を裁判所に提出する事になります。
【まとめ】
相続については、このように必ず相続しなくても良いという法律があります。例え、身内が犯した罪であっても、それによって相続人の人生までもが狂ってしまう事になりかねないからです。相続放棄をする場合は、以降一切の相続の権利が無くなりますのでその相続がプラスになるのか、マイナスになるのかをしっかりと精算をしてから慎重に決めるようにしましょう。