製造物の欠陥によって、消費者に損害を与えた場合に企業は、製造物責任を負う事になります。しかし、これは製造業者だけに課せられるものではなく、実際に製造物を製造、加工、輸入していない場合でも製造業者として氏名を表示した業者は同じように責任を負う事になります。企業は、いつどこで責任を問われる事態になるかわかりません。PL責任について、しっかりと理解しておきましょう。
【製造物責任を負う人】
食品、医薬品、化粧品、日用品、家庭電器、自転車、自動車、コンピュータ―など世の中には、多くの商品が出回っています。これらの商品に、欠陥があり消費者の生命、身体、財産などに損害が発生した場合製造物責任を問われる事になります。実際に製造物責任は下記の人が負う事になります。
・製造業者・加工業者・輸入業者
・表示製造業者
実際に製造物を製造、加工、輸入していない場合でも製造業者として氏名を表示した業者は責任を負う事になります。また、製造業者としての表示はなくても製造業者と誤認されるような場合も責任を問われます。例えば、商号、商標、ロゴマークなどがこれにあたります。
・実質的表示製造業者
製造・加工・輸入・販売などの形態を考慮し実質的な製造業者と認められる業者も責任を負う事になります。
【製造物責任を負うケース】
それでは、実際にどのような場合製造物責任を負う事になるのでしょうか?実際のケースを見てみましょう。ある企業が、メーカーとOEM供給契約を結びメーカーから仕入れた商品のパッケージに当社のブランドを表示して小売店に卸していました。この商品を購入した消費者から、「不具合が原因でケガをした。損害賠償請求を求める」との連絡がありました。このような場合、この企業は実際に製造を行っていませんが、製造物やその包装、取り扱い説明書などに製造業者として表示されていた場合には賠償責任が生じます。それでは、この企業は製造物責任を負わない為にどうすればよかったのでしょうか?対策を見てみましょう。
【製造物責任を問われない為に】
実際に製造を行っていない場合でも、このように製造物責任を問われる事があります。今後「製造業者等」に該当しない為には、製造物の包装や、製造物事態に実際の製造業者として明示する事、販売者である場合は販売者として表示をする事などを徹底していく必要があります。具体的には、製造物の包装や製造物には「製造者○○」と記載し、販売者である企業は、「販売元○○」というような記載をする事です。
【まとめ】
自社が、製造に全く関わっていない場合は、損害賠償請求のリスクを考え販売元と記載を変更する事が大切です。しかし、製造物の製造、加工、輸入、または販売の形態から実質的な製造業者と認められるような商号などを表示した場合は製造業者として判断される事になりますので注意しましょう。