企業におけるストレスや過労、長時間労働などの問題が原因で、アルコール依存症、高血圧、不眠症を訴える人も多くいます。このような、心身の病は企業の責任であると捉えたうえで企業は訴訟を起こされるリスクについて理解しておく必要があります。労働災害で訴えられる前に企業が出来る対策はないのか見てみましょう。
【労災のリスクマネジメント】
労働災害が起こる前に、企業は何か対策が出来なかったのでしょうか?まず、企業は労働者に対し心身ともに健康に働ける職場環境・労働条件を整備する事が大事です。特にうつ病などを発症してしまった場合、特定の部門で集中して発病者を出す事が多く人事的な措置を施す必要があります。人事的措置とは、本人や直属の上司、同僚などの人事異動、配置転換残業の禁止などが挙げられます。これらを適切なタイミングで行っていく事で、病気や自殺者などを少しでも食い止める事が出来たかもしれません。また、健康診断や人間ドッグの受診を勧める事も生活習慣病などを防ぐためには、重要になります。心の病も、体の病も企業での働き方や周りの環境が大きく影響してきますので、企業は従業員に対して総合的な対策が必要になります。
【労災と訴訟リスクについて】
社員が過労や、ストレスから自殺をした場合企業並びにその直属の上司は遺族から「労災訴訟」を起こされるリスクがあります。裁判が起これば、関係者は7~10年程度は裁判所に通ったり、裁判で敗訴となった場合損害賠償金の請求をされたり、企業や自身の社会的ダメージも大きくなります。一般的には、うつ病である社員に長時間労働やストレスを与え続けた場合、会社側が敗訴するケースは極めて高くなっています。産業医はうつ病患者に対して、原則就業制限やドクターストップを勧告し社員が心身ともに健康を取り戻す為のアドバイスをします。もし、産業医の勧告を無視して社員を過労に働かせていた場合、企業の責任は更に重くなるので注意が必要です。
【労災認定の基準】
労災に認定される基準も確認しておきましょう。下記のいずれかを満たしている場合業務上の疾病として認められます。
・対象となる疾患を実際に発症している事
・発症前6か月の間に客観的にその精神障害を発症する恐れのある業務による強度の心理的負担があった場合
・業務以外の心理的負担、個人的要因による精神障害を発症して事が認められない場合
【まとめ】
過重労働や、仕事上のストレスが原因で精神疾患、脳・心臓系疾患を発症した場合労災として企業は勿論、人事部長や直属の上司など個人に対しても損害賠償を請求されるリスクがあります。企業はこれらのリスクをしっかりと理解し、社員に対して心身ともに健康で快適な職場環境を提供する事が大切です。