製造業では、どんなに注意をしていても、異物混入事故を完全になくすことは難しいでしょう。
また、一度このような事故が起こると第三者から賠償請求を受けることもあります。
異物混入事故により、製造業者は大きな社会的損失も負うことになりますので、しっかりとそのリスクについて理解しておく必要があります。
【異物混入事故の責任】
異物混入事故が起こると、企業はその事実を迅速に包み隠さず世間に公表し、消費者への謝罪、自主回収などを行いましょう。
食品衛生法では、加工食品で人体に被害が及ぶような商品を製造したり、販売することが禁じられています。
違反したメーカーは、厚生労働大臣や、管轄の都道府県知事から改善命令や営業停止処分といった厳しい処分が下されます。
法定刑では、3年以下の懲役または300万円以下の罰金を支払うようになっています。
【対象となる事故の例】
ある保険を例に見てみると、対象となる異物混入事故については下記のようなものがあります。
・第三者による異物混入
従業員を含む第三者による悪意ある行為によって、異物混入や異物混入脅迫が行われた場合
(例えば製造している商品に、金属破片を混入したことが発覚した場合)
・安全が損なわれる偶然な汚染事故
生産物に偶然な汚染が発生し7日以内に消費者に健康被害が発生した場合、または確実に発生する恐れが生じた場合
(提供した食材にO157が見つかったなど)
・瑕疵ある偶然な事故
健康被害の恐れはないものの、生産物に偶然な事故が発生した場合
(工場のラインで誤って輪ゴムが混入した場合など)
このような場合、保険の給付の対象となりリコ―ル時に発生する様々な費用を補填してくれます。
【リスクマネジメント】
これらの事故に対して、企業の資金だけで対応するには限界があるでしょう。その為、企業はリスクマネジメントとして、保険に加入することをお勧めします。
企業の賠償責任に対する補償として、PL保険があります。
また、生産物のリコールに対して発生する様々な費用を補填する為には生産物品質保険というものがあります。
これらをうまく組み合わせながら、その時々に必要な補償を補填しましょう。
【まとめ】
一度、異物混入事故が発生すると企業が負う責任は非常に重くなり、賠償金も莫大になります。
企業は、万が一のリスクに備え、法人保険を賢く活用することが重要です。また、同時にその時の迅速で誠実な対応が企業イメージを大きく変えることも忘れてはいけません。