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業務中や昼休み中に自転車事故が起きた時の責任の所在は?

現在、自転車運転のマナー違反や自転車による死傷事故などが社会問題になるなど、便利な移動のツールでありながら様々なリスクが内在している自転車利用について考えていく必要があります。
企業によっては自転車通勤を推奨し、自転車で業務活動を実施させるといったところもあるようですが、マイカーによる通勤と比較して自転車通勤はリスク対策も万全とは言えません。
埼玉県でも「埼玉県自転車の安全な利用の促進に関する条例」が改正され、平成30年4月1日からは、自転車事故を起こした場合の被害者救済、そして加害者の経済負担軽減を目的として自転車損害保険等への加入が義務付けられます。
これらも踏まえながら、従業員の業務中や昼休み中に起きた対人対物事故の責任の所在についても確認しておくようにしましょう。

従業員が自転車事故を起こした場合・・・
従業員が通勤中や業務中、自転車事故を起こしてしまった場合、企業イメージの低下や信頼を失うことで売上不振といったダメージを受けることになる可能性があります。
万一、事故で従業員が死傷した場合には当然ながら貴重な労働力を失うこととなり、死傷した従業員本人、遺族への補償、欠員補充のための費用なども必要となるでしょう。
事故処理、被害者に対する見舞いなどにも時間と労力が掛かり、従業員に十分な賠償資力がなければ、企業が損害賠償を請求してくる可能性もあるので対応していかなければなりません。

・裁判で企業に賠償責任があると認定されることもある
仮に裁判で企業に損害賠償責任があると認定されれば、企業は賠償金を支払う必要性が出てくるのです。

・通勤や昼休みに私用での自転車利用も企業の責任に?
従業員に自転車の業務使用を許可している場合、業務中だけでなく、通勤・帰宅中、昼休み中に私用で自転車を利用したことで事故が起きた場合にも、企業に賠償責任が及ぶ可能性はあります。

・従業員が勝手に自転車を利用していた場合でも?
また、業務で自転車の使用を禁止していたのに従業員が無断で使用し、業務中に事故を起こしてしまったという場合でも、企業が損害賠償責任を負うことになる可能性も考えられるでしょう。

従業員個人が加入している賠償保険ではカバーできない
従業員には徹底した自転車利用についてのマナーなど、しっかりと教育していく必要がありますが、本来なら自転車事故は従業員が加入している個人賠償責任保険でカバーできるはずです。
しかし、業務中の事故は労災事故であり、個人賠償責任保険は業務中の事故までカバーできませんので、そのためには使用者(企業)が企業向けの賠償責任保険に加入しておくことが必要です。
企業向け賠償責任保険であれば、業務外の個人で事故が起きた場合にも補償される保険もあるので確認してみましょう。

従業員の自転車利用に対する教育も不可欠
今回、新たに義務付けられる自転車利用者や事業者に対しての自転車損害保険等への加入の義務付けにより、業務に自転車を利用する事業者は、自転車事故で賠償責任が生じた場合に補償される保険に加入することが必要となります。
ただし従業員が加入している個人賠償責任保険などの自転車保険では事業活動中の自転車損害賠償事故まで補償されないということ、さらに通勤・帰宅途中、昼休み中での私用による自転車利用での事故も企業に賠償責任が及ぶ可能性があることを認識し、従業員に対する自転車マナーなどの徹底や教育をしっかりと実施して行くことも大切です。

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