建設業界を取り巻く環境は年々悪化しており、低価格による過当競争や、人材不足などが大きな問題となっています。また近年は資金力による体力勝負の状況にまで追い込まれており、これらは社会にとっても深刻な問題となっています。建設業界が抱える問題について触れてみましょう。
【建設業の問題】
(就労者問題)
少子高齢化の波は建設業にも押し寄せています。建設業界で働いている労働者の約32%が55歳以上と言う割合に対して、29歳以下は12%にとどまっています。
また、建設の専門的な知識を持った就労者の数も減少しています。平成17年から大工は48%、土木工は44%減少しています。
(重層下請構造)
いわゆる孫請けなどの重層下請契約を行うことで、間接経費の増加、生産性の低下、質の低下などの問題が発生します。
またトラブルが発生した場合の施工の責任が不明確になったり、安全表示の不徹底などが起こるため、これらを是正する必要があります。
(公共調達市場と受発注者関係)
ダンピング受注は、産業の健全な発展を阻害する他にも、工事の手抜きや安全対策への不徹底や、労働者の環境悪化に繋がる危険があるため、不当な入札については対策を行っていますが、完全な排除には至っていません。
【問題の改善策】
これらの問題の改善策としては下記のようなことが、挙げられます。
就労者の問題としては、年金、医療、雇用保険等の社会保険が十分でない場合もあり、処遇が悪くなって労働者の離職が加速しているという問題に繋がっています。これらの問題に対して、建設産業行政担当部局が社会保険等の加入の徹底の取り組みを促し、産業の健全な発展を促進させていくことが大切です。
具体的には、立ち入り検査をして社会保険等の加入状況のチェックや、指導などを行います。
重層下請については、下請契約の必要性、チェック、下請企業の選定、工事の平準化などを行うとともに、雇用環境の改善も行っていくことが大切です。
ダンピング受注については、予定価格の公表や、事前公表は避け適正な積算などを行い、ダンピング受注を防ぐ必要があります。
【まとめ】
近年建設業界には、このような様々な問題が山積みです。こうした中でも特に人材教育に資金を投入できなくなった企業が増え、将来の技術者能力の低下や、建設業の質の低下が懸念されています。
多くの問題を改善する為にも、建設業界は既存の閉鎖的なやり方を大きく変えていくことが求められています。